人気アイドルグループ「AKB48」のメンバーと握手できる券を偽造したとして、有価証券偽造・同交付罪に問われた無職大井邦彦被告(25)に対し、東京地裁(近道暁郎裁判官)は25日、懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)の判決を言い渡した。
握手券が刑法上の「有価証券」にあたるかが争点となったが、判決は「ネットオークションで売買されていることなどから、財産的価値があるのは明らかで有価証券にあたる」と判断し、弁護側の無罪主張を退けた。

http://www.asahi.com/national/update/0825/TKY201008250350.html

あとで思う。

有価証券とは、財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につきその証券の占有を必要とするものをいう(大判明治42・3・16…)。(中略)それは商法上の有価証券よりも広く、約束手形(…)、荷為替手形(…)、小切手(…)、貨物引換証(…)、預証券(…)、船荷証券、鉄道乗車券(…)、劇場の入場券、商品券、クーポン券、タクシーチケット、宝くじ(…)、競馬の勝馬投票券(…)などが含まれる。
山口『刑法』413頁

売買されているからという理由付けはちょっと不思議な感じだけども、握手券に財産的価値があるかというより、握手に財産的価値があるかという問題か。
ふむ。こうして考えてみると妥当な結論か。ライブのチケットが有価証券なら、それよりグレイトな握手券が有価証券でも不思議ではない。

議会は警察の裏金作りを実名で告発した元愛媛県警巡査部長の仙波敏郎氏(61)を副市長に選任した専決処分について、反対11賛成4で不承認とするなど計3件を不承認とし、前年度末に行われた通常の専決処分5件を承認した。(略)
仙波氏に対して、議会側は今後副市長と認めない構えだが、竹原市長は「不承認だけれど、これで(副市長選任が)決まった」と起用を続ける考え。
(略)
今回は「議会が不承認にしても専決処分の効果は残る」と説明し、臨時会を招集した。

http://www.asahi.com/politics/update/0825/SEB201008250021.html

紙面では総務省行政課のお役人が市長の解釈も成り立ちうる旨を発言していた。この点についてあとで思う
事後承認が必要な例ってのは立法上珍しくもなく、例えば参議院の緊急集会(憲法§54②但書,③)とか条約(§61)とか。
もっとも、承認がなかった場合の効果については解釈に委ねられていると考えられそうな気がする。例えば条約は、通説では不承認なら国際法的には有効で国内法的には無効、有力説では相手国の国内で承認が必要なのは今日では常識なので締結時に取り込まれていて不承認なら国際法的にも無効、とかいう話があったような無かったような…国際法はど素人なのでわからんけど。
今回の専決処分は地方自治法§179③の問題で、否決された場合の効果は規定が無さげ。なので、そういう解釈も、ひとつの可能性としてはあり得るかもしれないというのはその通りだけど、それは裁判所に否定される可能性もある。
思うに専決処分は本来議会に属する権原を代行するに過ぎないのだから、議会の意思が優先するべきであって、その議会が明示的に反対の意思を表示した以上、以後は専決処分の効果は失われると解するのが相当なんじゃなかろうか。
まぁ阿久根市の件はそもそも専決処分の要件を満たさず違法だと思うけど。
専決処分については受験新報9月号の問題だったので、10月号の解説にちょっと期待してる。ついでにこれは来年の紳士で聞かれてもおかしくないとも思う。

午後1時半の開廷直後、罪状認否で笹本被告が2事件のいずれも起訴内容を認めた。その後、打田さん殺害事件の審理が始まり、この事件で「笹本被告の自首が成立するかどうか」が争点となった。
(略)
自首については別の被告への事情聴取などから、笹本被告が打田さん殺害を県警に申告する前に、打田さん殺害事件での笹本被告の関与を県警は把握していたなどとして、「成立しない」と述べた。
一方、弁護側は、笹本被告が自供する前、捜査機関は打田さんがどの事件に巻き込まれて殺害されたかを把握していなかったなどと述べ、「自首の成立」を主張。(略)

http://mytown.asahi.com/miyagi/news.php?k_id=04000001008230002

法令の解釈適用と裁判員制度とか、立証責任とかについてあとで思う

自首とは、罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に、自発的に自己の犯罪事実を申告し、その処分を求める意思表示をいう。その刑は、任意的に減刑される(42条1項)。自首が任意的刑の減軽事由とされている趣旨は、犯罪の捜査を容易にする政策的理由および改悛による非難の減少に基づくと解すべきである。「発覚する前」とは、犯罪事実が捜査機関に全く認知されていない場合、および犯罪事実は認知されていても犯人の誰であるかが認知されていない場合をいう。
大谷『刑法講義総論』521頁

さて、それでは犯罪が捜査機関に発覚する前であるか否かが争われ真偽不明であった場合、自首の成立を認めるべきか否か。
犯罪の証明責任は検察官が原則として負うべきだという考えを徹底するなら、自首の不成立について検察官が立証責任を負うとも考えられそう。自首の根拠について責任(ないし違法?)減少をベースに捉えれば、正当防衛や心神耗弱等と同様に、構成要件によって違法・責任が「推定」されるものの、争点が形成された以上は検察官が立証責任を負う、という考えに。
他方、政策目的をベースに考えれば、自首の成否は犯罪の証明では無いのだから、有利な効果を享受する被告人側に立証責任があると考えそう。
どっちの説明も行けそうだなぁ。
直感的には政策目的ベースで被告人の立証責任を、と思ったけど、よくよく考えてみると、捜査機関が被告人を犯人として認知していたか否かについての証拠は圧倒的に捜査機関側に偏在しているのだから、捜査機関に立証責任を負わせるのが衡平に適う。したがって捜査機関に立証責任があると解する。って感じで。

【北京時事】新華社電によると、中国の全国人民代表大会全人代=国会に相当)常務委員会は23日、刑法で死刑が適用される68罪から、窃盗、密輸、文化財盗掘など13罪を除外する同法改正案の審議に入った。
(略)
全人代常務委の法制担当者は、「暴力犯罪ではない一部の経済犯罪を死刑としなくても、社会安定の大局に悪影響は生じない」と説明。ただ汚職や麻薬密輸などは除外されない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100823-00000060-jij-int

あとで思う。
この「悪影響は生じない」というのがまた悩みどころ。法定刑の引き下げが治安に好影響だ、とは言ってない。
素朴な考えとして全ての犯罪を死刑にすれば予防効果が高いんじゃないかとか、逆に軽犯罪者に歯止めが効かなくなって凶悪犯罪が増加するんじゃないかとか、そういう両様の意見がありうるわけで。
最高刑が引き下げられるときには、それに先立って当該犯罪で最高刑が適用されないようになってるのが普通だったりするんじゃないかとか。
そもそも法定刑ってのは、国民に対する予告であると同時に裁判官に対する制約でもある。法定刑の幅が狭いほど、裁判官を信用してないと言えなくもない。ちなみに清朝中国では、裁判官は天子の代言者であるがために、詳細な構成要件と狭い法定刑の幅であったと習った覚えが。
で、裁量ということで言えば、どんな悪質な文化財盗掘であっても死刑に処せないという事になる。日本で三種の神器盗んだなんて言ったら内乱罪で死刑にされそうだけどねー。まぁそれは冗談としても、例えば9年に渡る監禁致傷に対して監禁致傷罪の法定刑が低すぎるってんで下着ドロボーを付け足して無理やり長い刑を課した国もある。
あと、何がどのくらい重大な犯罪かってのも国によって異なる。中国ではアヘン戦争のトラウマから麻薬犯罪がかなりの重大犯罪だけども、他にも木造建築の国では放火がやたら重罪だったり、強姦を社会的法益への罪と捉える国では強姦罪が比較的軽い罪だったりする。
まぁそんなわけで、法定刑には様々な社会的・文化的背景が現れているはずで、外国の法定刑について断片的な情報からぺろっと論ずるのはいかにも評論家っぽくて下衆い感じだけど、しかしまぁ、日本人の感覚には合う方向への改正だわいな。


む、いかん。下らないことを書く時間がなくなってる。
いいや。ええと、今日のみんなでニホンGOによれば、「コンパ」は「コンパニー(company)」の略語らしい。
だから、「合コン」は合同コンパニー、つまり合同会社の略語だったんだよ!


『みかこさん』 今日マチ子 - #198 のばした手
うぅ…ミドリカワ…。付き合ってる感が無かったのに急にそんなー。