答案実務上極めて重要な最高裁判例が!といっても意見だけども。
観念鏡に「前段」って付けるのは不正確だってさ。確かにびみょーに違和感あったけど。

裁判官堀籠幸男の補足意見は,次のとおりである。
法廷意見は,観念的競合の適用条文として,「刑法54条1項前段」ではなく,「刑法54条1項」を掲げているが,これは正確な法令の適用であると考える。法令用語としての「前段」とは,法令の規定を一つの文章に書くことができない場合で,かつ,それを項に分けることが適当でない場合に,その規定中に終止形で終了する文章を二つ設けることがあるが,その場合の前方の文章をいうものとされている。これによれば,刑法45条には前段及び後段が存することになるが,刑法54条1項には前段又は後段はいずれも存しないことになる。法令の規定のある部分をどのように呼称するかは,法制上の約束事であって,法令の解釈の問題ではないから,観念的競合の適用条文として「刑法54条1項前段」を掲げるのは,正確性を欠くものと言わざるを得ない。当審判例や実務において観念的競合の適用条文として,慣行的に,「刑法54条1項前段」を掲げることが行われているが,正確性を欠くものと考える。

最高裁第三小法廷 平成21.7.14 平成21(さ)1 道路交通法違反被告事件
刑法54条1項(1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合等の処理)
一個の行為が2個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
cf.同45条(併合罪
確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。

本件抗告の趣意のうち,少年法3条1項3号イの「保護者の正当な監督に服しない性癖のあること」及びニの「自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること」が過度に広範であり,不明確であるとして規定違憲をいう点は,これらの規定が所論のように過度に広範であるとも,不明確であるともいえないから,所論は前提を欠き,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,処分不当の主張であって,少年法35条1項の抗告理由に当たらない。
よって,同法35条2項,33条1項により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

最高裁第二小法廷 平成20.9.18 平成20(し)348 中等少年院送致決定に対する抗告棄却決定に対する再抗告事件

これで判決理由全文。たしかに「広範でない」とか「不明確でない」とかの理由を言語化するのは難しいだろうけどさ。でもさ…。もうちょっと頑張ってくれてもいいんじゃないかと思う。
イはともかくとして、ニについて、何が「徳性を害する」かってのは、通常の判断能力を有する少年の理解において、具体的場合に当該行為が適用を受けるものかどうかの判断が可能ならしめる基準が読み取れるかどうか、微妙な気がしないでもない。とりあえず「猥褻」よりは不明確な気がする。
ところで勢いで一般人じゃなく少年を基準にしたんだけど、少年を基準にしても良いんだろうか?


うーん…半日PC画面に向かっただけで、目がしょぼしょぼする。
イマドキPCを使わないでお仕事できるとも思えないけど、大丈夫なんだろうか…。