そろそろ選挙について一言いっておくか。

投票は権利であって義務ではないですから。
あ…。 絶望した!義務が次々と増える世の中に絶望した!


日本国憲法によれば、すべて国民は普通教育を受ける義務がある。イエスかノーか?」と問われたならば0.5秒で「絶対にノー!」とベネット大統領の如く叫ばなければならない我々のような身分にあって、これを義務の如く語るのは特にまずいと思う。
だいたい、何人も思想信条の自由を持っているところ、この自由には思想信条の表明を強制されないという消極的自由も含まれているんだから、それを強制しようという論者はどんだけ人権蹂躙したいのよ。表現の自由も然り。


あと白紙投票は不投票よりも悪いと思うんだけど。
選管の仕事が増えるだけで、何らの現実的な意味がない。「白票が増えているから反省しなきゃ」と思っている政治家を見たことがない。投票率の低さに政治不信をみて気を病む政治家はいるけどね。


それに参院には地域代表的性格もあるところ、私みたいな道外の人間が北海道で投票するのは選挙制度の前提への攻撃だ。例えば一票の価値の高い地域へ学会員が大挙して引越してきたら問題なように。


国民も参院選衆院選の区別がついてない節がある。(自民党が必死に喧伝しているように)内閣不信任の権限を有しない参院は政権を選ぶ選挙ではなかろうて。
「政権」という言葉も論者によって範囲に幅があるけど、例えば選挙で自民が負けて安部が引責辞任したとしても自民党内での政権交替が行われる。
民主党の主張する政権交替というのは政権政党の交替を意味するけど、自民党には55年体制以来、党内で政権交替することで擬似的に政権を刷新することで国民の欲求不満に答えてきた伝統があるわけで。
民主党やその取り巻きは安部内閣を倒そうと息巻いているけど、実際のところ、この選挙で安部内閣が倒れて麻生政権が誕生し、しかも上手く国政を動かしちゃったりしたら、次の衆院選で窮地に立つのはむしろ民主で、だから本当に民主党が政権を欲しかったら、この選挙で勝たないほうが得策だと思うんだけど。安部続投でも「民主が勝ちすぎた」と思われたら次の選挙では負けるんだからさぁ。


結局「良識の府」だのなんだのは政治的美称に過ぎないのであって、参院が実際に良識の府であるために何らかの行動をとっている人を見たことがない(参院議員を除く)。マスコミを含めて。
どうせ選挙民にそういうのの区別はできやしないんだから、本当はこういうところは選挙制度によってシステマティックに2院の構成を変えるべきだと思う。
普通選挙により同一の選挙人によって選挙される以上、スローガンによって2院の構成を違えることは難しい。そして同一の構成からなる二院制にはコスト以上のメリットがないのは19世紀には既に指摘されている。
日本国憲法では45条46条が両院の選挙での制度的区別が置かれていて、それは知っての通りの任期の話なんだけど、参院のほうが安定性が高い任期が設定されていることからすれば、民衆の軽率な行動は衆院に、民意に対し鈍重な連中は参院に割り当てるのが適切に見える。
だから私の現時点の考えでは、衆院は完全な小選挙区制で2大政党制でうだうだやってもらって、参院では(都市部に黙殺されがちな地方の声を反映させる)都道府県代表と(死票が少なく多様な意見を取込める)比例代表制とで構成したら、面白い二院制議会が誕生するんじゃないかなぁとか思ってるんだけども。