マリモグミ

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070620k0000m040060000c.html
でさぁ、民事は免責されてOKだとして*1、刑事はどうなの?
医師が、手術中に輸血が必要になったと知りながらあえてこれを行わず患者を死亡させた行為は殺人罪の不真正不作為犯になりそうなわけさ。
傷害罪とかだったら本人の同意によって違法性が阻却されるけれど、生命については同意によっても法益を放棄できないというパターナリズムが採用されていて、同意殺人罪(202条)があるわけさ。
ってことは、この担当医は本人の同意があってもなお、同意殺人の罪責を負う気がする。


そもそも医療行為は傷害罪を正当行為(35条)で違法性阻却、ってなわけで、ムリヤリ傷害致死にしたうえで同意に基づいて違法性阻却してみようか?
いや、作為部分については傷害罪に持ってけるけど、上記の不作為部分はやっぱ殺人だよなぁ。
まぁそれはおいといても、同意に基づく暴行で死亡させた例としては 首絞めSexの (1)大阪高判S29.7.14, (2)大阪高判S40.6.7, 空手練習の (3)大阪地判S62.4.21 があるけど*2、(1)は過失致死、(2),(3)は傷害致死
(2)判決に曰く

かかる方法による暴行は仮令相手方の嘱託ないし承諾に基くものといっても社会通念上許される限度を超えたものと言うべく、従って違法性を阻却するものとは解されない。

ってなわけで、SMプレイの同意ですら社会通念上反するとかいわれるくらいなんだから、「輸血せずに死んでも文句言うなよ」という同意が認められるのは難しい気がする。


あるいは同意によって、不作為による殺人を基礎づけている作為義務(=輸血義務)を否定するとか?
でもこの義務は生命に関わるものなんだから、やっぱり同意によって義務を否定することは出来ないよなぁ。


なんかやっぱり同意殺人で良い気がして来た。
そもそも取り付けた同意の内容がおかしい。
輸血しない場合に起きた事態については免責するという同意ではなく、「死にそうになったら輸血する」という同意じゃなきゃいけない。
この同意が取れないなら手術を拒否するべきなわけで、「だって死んでも良いって言ったじゃん」という理由で死なせたことは、202条がある以上、違法と言わざるを得ないだろう。
この病院のエホバ対策マニュアルを作った奴は民事しか見えてなかったんじゃなかろうか。
そもそも件の最高裁判決にしたって、賠償を基礎付けられた責任は、「輸血をしないという約束の違反」ではなく「いざとなったら輸血するということについての説明義務違反」に基づいていたわけで、だからあの判決は「輸血をするな」ではなく「輸血することを説明しろ」と読まなきゃいけない。
それで相手が同意しなければ手術はしないでおいて、緊急手術が必要な段になったら輸血ありで緊急手術をしてしまえばよい。そもそも緊急手術自体が本人の同意無しに行われても賠償責任を負わないわけだから、そこで本人の同意無しに輸血をしたって賠償責任を負わないはず。
どっちにせよ、病状が悪化するまでは放置しなきゃいけない点ですんごい迷惑だけどね。
エホバの証人の信者は自分達のための病院を作ってみんなそこに行けば良いのに。
名前は勿論「エホバの病院」。


上で長々と書いたのは実は最後の一行を言いたかっただけ、という有力説もある。


http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20070620/yahoo.htm
実は「雲のむこう〜」も見てないんだよね…。この機に…スペック大丈夫かなぁ…。


写真はお向かいさんに頂いたマリモグミ。
グミ壷に挿してみたのは、ちょうど赤いグミで満たされてたから、魔女の火炙り処刑をイメージしてのことだったんだけど、さすがにこれは他の人に言ってない。
「人類は十進法を採用しました」に見えなくもない。
ちなみにこのマリモグミ、裏側から見るとうみにんに似てる。
……うみにんって絵本になってたのかよw

うみにん―うみ・やま・たにの物語

うみにん―うみ・やま・たにの物語

*1:もっとも、民事についてもパターナリスティックに公序良俗違反とする余地もある気がする。

*2:そういや全部大阪だ