渇きの件について

渇きの件について。
前にどっかに書いたかもしれない。書いてないかもしれない。書いたとしても、当時はまだ縦(と横)の繋がりが切れてなかったから遠慮してたかもしれない。
これから書くことは現役当時から言いたかったけど、馬鹿なOBの機嫌を損ねるわけにいかなかったから書かないでいた話。
今はもう、いくらでも非難できる。


まず大前提として。
なぜか解ってない(で講釈垂れる)人がいるという笑い事じゃないことなんだけども、水分が失われると運動の質は落ちる。これは根性では絶対にカバーできない。*1
練習の強度は落ちるし怪我も増える。
脱水状態で練習をすることは、充分な水分補給をしながら練習する場合に比べて質が著しく落ちる。
強度の落ちた練習をすることは、練習としての質を落とすばかりではなく、より低いレベルの動きを体に覚え込ませてしまう点で、極めて問題が大きい。
つまり、練習中に水を飲むのは、サボることではなく、より高いレベルの練習を行うための義務。
私にいわせれば「稽古中に水を飲むのは良くない」という発言は、「より手を抜いた練習をしろ」と言ってるのと同義だ。*2


さて、そんで渇きの対策。というか乾かないための対策。
喉が渇いた時には既に脱水症状に入っている。
そして乾いた状態で水(等)を飲んでも、それが実際に体に吸収されるまでにはタイムラグがある。
だから、水分は喉が渇く前に補給しなきゃいけない。
そのためには、練習中にちょくちょく水分を補給しなきゃいけない。


数年前に新聞紙上で、ガンバ大阪のフィジカルコーチが、水を飲むように指導してる話を書いていた。
各人毎に専用のペットボトルを用意しておき、練習後に、その中身の減りが少ないと、もっと水分を補給するようにと指導するらしい。
容器はフィールド上に、ちょっとでも時間が空いたらすぐに飲めるような場所においておく。
各人毎に容器を用意することで消費量が判るという効果に加え、ボトル経由での風邪の感染も防げるとか。


ちなみに体に吸収されるまでの時間は、水やお茶よりもスポーツドリンクの方が早い。
それにナトリウムとかのミネラルが汗から流れ出てるし、熱量も消費してるから、補給しなきゃいけないのは水分だけではない。
なので、水分補給は基本的にスポーツドリンクで行うべきだ。
なんてのはあたりまえのはずなのに、世の中には、運動科学の研究者が開発した飲み物よりもお茶だの水だのの方が優れているというトンデモない発言をする人がいたりする。
もっと最低に思ったのは、「ミネラルが失われた状態で水だけ増やすと浸透圧が変わって危ない」ことを理由に、「だから練習中に水分補給しちゃだめだ」という、かなり危険な行為を推奨する大バカ物がいたりした。
一見すると「浸透圧」なんて単語を使ってるから立派な意見に見えてしまう分、余計タチが悪い。
あのねぇ。脱水状態で練習する方がよっぽど危ないっちゅうの。
ミネラル無しで水だけってのがダメなら、ミネラルと一緒に水分を補給するのが筋で、そのためのスポーツドリンクだろうがよ。


あともう一つ電波なアドバイスとして、どうしても喉が渇くなら練習前に予め飲んでおけとか言ってる奴もいた。っていうかもしかしたら上の電波と同一人物だったかもしれない。
あのなぁ、90分運動したら、人によっては2リットルくらい水分消費するんだよ。
事前に2リットルも飲めるわけねーだろ。そんな飲んだら動けないっつーの。


上の内容は、ソースは失念したけどだいたい大学の図書館で読んだはず。運動科学コーナーと、あとトレーニングジャーナルで去年だか一昨年だかの夏前にも水分補給特集をやってたはず。


ちなみに合気道の場合は15〜20分くらいで技を変えるための区切りが入るところが多いと思うんだけど、この間隔は水分補給のタイミングとして申し分ないと思う。
あと。部活では、先輩は、後輩が間違った遠慮をしないように、自ら率先して水分補給している姿を見せるべきだと思う。


ふとアイソトニックでググったらトップにこれが来た。
[サプリメント] メロンリペア 商品詳細
見出しは運動前と運動後しか触れてないからちょっと言葉足らずだけど、本文ではちゃんと、運動中はハイポトニックという点も触れている。
でもこれは「いかに(how)」水分補給をするかという話なので、「なぜ(why)」水分補給をするかを解ってない人はまずそこから理解して下さいね。
というか、偉そうに講釈を垂れる前にwhyくらいは理解しといて下さい。理解してないならアドバイスという名目で有害な発言をしないでください。


仮にも武道の稽古をしようというのであれば、怪我をしないように、それ以上に、怪我をさせないように、最善を尽くして下さい。
稽古中に怪我をさせてしまうことへの恥の意識が低過ぎます。
あと武道に怪我はつき物なのに、怪我に対する応急体制が全くなってないのも酷い話でした。
それと、根性のフリして中途半端にしか直ってない段階で復帰してくる人、迷惑なんできちんと直して出直して下さい。どうせ質の低い稽古しか出来ないし、怪我を気にすると変な癖がつくし、完治までの期間は延びるし、しかも合気道の場合はその質の低い稽古に相手まで巻き込むことになるので。


あー、何かいっぱい書いちゃったから日記の部分は省略。
あ、そうそう。ツンデレラの原稿(未完)がやっと見つかった。
いやはや、どっかで落としてて誰かが拾ってたら同しようかと思ったぜ。

*1:カバーできるくらいなら、その根性という名の余力を、ベストコンディションで用いた方がもっと高いレベルの練習が出来る。

*2:本人にしてみれば脱水症状と戦っているから手を抜いてる意識はない、むしろ必死なんだろうけど、だから手抜きを自覚できない分、余計にタチが悪い。