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仙台地裁 平成22.9.30 平成20(ワ)2328 損害賠償請求事件
- 男性と医師の間で締結された精管結さつ術による避妊手術に関する診療契約は,同手術について同意をした配偶者である女性に対し,医師に適切な手術の実施を求めたり,必要に応じて手術の内容などについて説明を求める法的利益ないし地位を付与する旨の第三者のための契約を包含すると判断した事例。
- 精管結さつ術による避妊手術を実施したにもかかわらず配偶者の妊娠が発覚した事案において,同手術を行った被告医師には,同手術の前後及び妊娠が発覚した時点における説明が不十分だったことによる診療契約をした男性及びその配偶者に対する債務不履行又は不法行為上の過失が認められるものの,同医師が原告らに対して既に支払った金員によって,その損害は全額填補されていると判断した事例。
またまた偶然にも仙台地裁の医事判例。なかなかいい日に判決出てますな。
事案は、パイプカット(切って結ぶ)したのに妊娠しちゃって、夫が不貞を疑うから産んでDNA鑑定してやっぱり夫の子で。っていう話。意地で産まれた子がちゃんと福祉を得られますように。とかいうご挨拶はさておき。
避妊手術はクランケと医者だけでなくクランケのパートナーにも極めて重大な関心ごとだから、パートナーにも何らかの法的利益を認めるっていうのは首肯できるかも。
ただ、第三者が絡む契約といえば例えば保証契約なんかもあるわけで、応用させようと思えば応用の余地の大きそうな話と言えなくもないかもしれない。
それはさておき個人的にへーと思ったのは、妊娠したけどパイプカット手術の過失は否定されていること。ただ、その否定のロジックもなかなか波乱含みのような。
医師は、診療契約上、臨床医学の実践における医療水準に従った治療行為を行うことが義務付けられるところ、通常の診療契約における医師の債務は、一定の結果を保証するものではなく,治療に当たって最善を尽くすことが求められるという意味において手段債務であると解される。
もっとも,避妊手術は,通常の治療行為とは異なり,それを実施しなければ身体,生命に害悪が生じるという意味における緊急性や必要性は乏しいのが通常であるところ,それにもかかわらず避妊手術を求める患者は,QOLないし家族計画という観点から子供をもうけないという自己決定権の行使の一環として避妊という結果を求めていることが容易に推認できる。そして,避妊手術を実施する医師としても,そのような経緯や事情を十分認識した上で避妊手術を実施しているものと考えられる。
そうであれば,避妊治療における医師の注意義務としては,治療に当たって最善を尽くすという手段債務の側面に加え,避妊という一定の効果を実現する結果債務の側面もあることは否定し難い。
したがって,被告は,本件手術において,原告らに対し,医療水準に従って最善の治療を尽くすことに加え,避妊という結果を実現する義務を負うというべきである。
判旨第3の3(1)
というわけで、避妊手術は結果債務だと言っちゃいました。そんな大胆な!?
でもって何となく勘違いしてたことに、請負=結果債務、委任=手段債務みたいに思ってた。でも委任でも例えば取立委任は結果債務だろうし、こりゃ間違ってたわさ*1。という私のバカ晒しはさておき。
医療行為は手段債務の典型みたいなものだと思ってたけど、内田民法でも診療債務でも、結果債務的なものもあろう(簡単な擦り傷の治療等)
(III初版121頁)と書かれてるくらいで、あまり決めてかかっちゃいけないんか。結局、ある結果発生についての保証引受がされている場合(結果実現保証)
*2か否かについての意思を具体的な契約に即して探求する必要があるわけだ。
まぁそれはさておき、本判決は避妊手術に結果債務の性質を認めながらも、妊娠したけども、過失(≒債務不履行)は無いとした。医療水準に従って適切に精管結さつ術を実施した場合であっても、0.01ないし0.1パーセントの確率で妊孕力*3(女性を妊娠させる可能性)が残存することは,医学的にも承認されている知見であるから(乙7,乙8の1,被告本人7頁)、妊娠という結果が発生したとしても、それのみをもって治療内容が不適切であったとはいえない
(判旨第3の3(2))ということらしい。つまり、妊孕力が僅かに残る程度の結果が、本件術式において保証引受された結果であると。そーなのかー。
というわけで。パイプカットは完全じゃないよっていうのがこのお話の教訓でした。…でいいかな。いいや。
近所のジャスコで録画のできるBRAVIAがやたら安かったので、ちょっとリサーチした。
SONYはBDに力を入れてるためか、テレビデオは貧弱。録画BRAVIAはイマイチ。だから安かったのだと納得。
で、先日日記に書いたときにはPanasonicと東芝のラインナップを見て絶望してたんだけど、SONYと日立はラインナップはそんなに混乱してない。
そしてどうやら日立のWooo UT800シリーズが実家におけるベストチョイスになりそうな気がする。
実家にはテレビ*4が2台あるんだけど、一方で録画した番組を他方のテレビで見れたら嬉しい。
そのためにはDTCP-IPサーバー機能のある配信側とDLNAクライアントになるテレビを用意するか、あるいは例えばPanaの「お部屋ジャンプリンク」のような各社独自規格(?)を使うかしなければならない。後者ならテレビやビデオのメーカーを揃える必要もある。
前者による方法を紹介する各社も、実際にはDHCP-IP対応NASに動画をダビングすれば出来るよっていう話で、ダビングの手間が必要なのでは実用性がない。
ところがどっこい、Woooはテレビデオ本体にDHCP-IPサーバー機能があるのですよ。つまり、NAS不要、ダビング不要。
DLNAクライアントになるTVは少なくないので、これなら日立にロックインされるわけでもない。
ついでにUT800シリーズは32インチでもフルハイビジョン。だよねー。
というわけで、Woooは要チェックやわ。
NASに録画できるREGZAの場合、NASがDHCP-IP対応なら特段の操作なしに録画番組共有できるんだろうか?そっちも興味。NASはあっても良い気がしないでもない。ただまぁ、実家のNASにはiTunesのライブラリ移せないので、私のHDD逼迫にはあんまり効果ないんだけど。